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進行中2025年4月 〜卒業研究

コンパニオンロボットとの短時間相互作用が精神疲労と注意機能に及ぼす影響

犬や猫のように、人間と情緒的なふれあいを行うロボットを「コンパニオンロボット」と呼びます。近年彼らは、企業のオフィスにも導入されているため、精神的な疲労だけでなく、仕事や学習で必要となる注意機能へ与える影響について検討します。

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この研究のポイント

  • コンパニオンロボットとの短時間のふれあいを、作業の合間の休憩として検討する
  • 休憩の評価として、心理面(精神的な疲労)と認知面(注意機能)の両面への影響を検討する

背景

パソコンを使った仕事や学習など、集中力を必要とする作業を続けると、精神的な疲れが生じ、作業の速さや正確さなどに影響することがあります1。こうした負担への対処方法の一つとして、作業の合間に取る短時間の休憩が研究されています。本研究では、その休憩中の過ごし方として、ロボットとのふれあいを検討します。  人とのふれあいやコミュニケーションを主な目的として開発されたロボットは、「コンパニオンロボット」と呼ばれており、人が撫でたり話しかけたりすると、動きや声などで反応します。これまでの研究では、犬などの動物やコンパニオンロボットとの短時間の交流によって、ストレスや疲労感、気分などの心理状態に好ましい変化が生じることが報告されています2, 3, 4, 5。  一方、作業の合間の休憩では、精神的な疲れや気分の変化だけでなく、休憩後の作業への影響も重要です。作業を再開・継続する際には、目の前の作業に注意を向け直し、その注意を保つことが求められます。そういった注意力は、学習や問題解決、意思決定などの知的作業を支える基礎的な認知機能として位置付けられています6。しかし、コンパニオンロボットとの短時間のふれあいが、こうした休憩後の注意の働きにどのような影響を及ぼすかについては、十分に明らかになっていません。

目的

本研究の目的は、パソコンを使った集中力を必要とする作業の後に、コンパニオンロボットとふれあうことが精神的な疲れや注意の働きに及ぼす影響を明らかにすることです。具体的には、「コンパニオンロボットとふれあいながら5分間過ごす休憩」と、「座って静かに5分間過ごす休憩」を比較します。そして、それぞれの休憩前後で精神的な疲れや、注意力が必要となるパソコン課題の成績がどのように変化するかを調べます。

手法

本研究では、同じ参加者が「コンパニオンロボットとのふれあい」と「安静休憩」の両方を体験する実験を行います。2種類の休憩は別々の日に1回ずつ実施し、実施順序は参加者ごとに割り当てます。実験は1回あたり約1時間、計2回です。

休憩条件

  • ロボット条件:座った状態で5分間、コンパニオンロボットと自由にふれあいます。撫でる、抱っこするなど、ふれあい方は参加者に委ねます。
  • 安静休憩条件:座った状態で5分間、スマートフォンの使用、読書、音楽鑑賞、会話などを行わず、静かに休憩します。

実験の流れ

  1. 実験開始時の測定:疲労感・気分に関する質問票と、注意の働きを調べるパソコン課題を実施します。
  2. 作業負荷の付与:画面に表示される情報を記憶しながら回答するパソコン課題に20分間取り組みます。
  3. 休憩前の測定:疲労感・気分に関する質問票と注意課題を再び実施します。
  4. 5分間の休憩:割り当てられたロボット条件または安静休憩条件で過ごします。
  5. 休憩後の測定:休憩前と同じ質問票・注意課題を実施し、休憩前後の変化を測定します。 これらの測定に加え、休憩に対する感想や、ロボット条件でのロボットに対する印象も尋ねます。

評価方法

主観的な疲労感や気分の回答と、注意課題の成績を用いて、休憩前後の変化を調べます。さらに、その変化の大きさを2種類の休憩条件で比較することで、コンパニオンロボットとの短時間のふれあいが、心理面だけでなく注意機能にも及ぼす影響を検討します。

期待される成果

背景でも述べたとおり、コンパニオンロボットは既に企業の執務室や休憩室などに導入されており、作業環境で人が相互作用する場面が存在します。このような利用場面でコンパニオンロボットを評価するには、癒しや気分の変化に加え、休憩後の作業再開に関係する注意力への影響を把握する必要があります。本研究で得られる成果は、職場や学習環境におけるコンパニオンロボットとのふれあいを、心理的な心地よさだけでなく認知的側面も踏まえて検討する基礎的知見となり、今後の利用方法や実環境での検証を考える上での資料となることが期待されます。

参考文献

  1. M. A. S. Boksem, T. F. Meijman, and M. M. Lorist. Effects of mental fatigue on attention: An ERP study. Cognitive Brain Research, Vol. 25, No. 1, pp. 107–116, 2005. ↩

  2. L. Pu, W. Moyle, C. Jones, and M. Todorovic. The effectiveness of social robots for older adults: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled studies. The Gerontologist, Vol. 59, No. 1, pp. e37–e51, 2019. ↩

  3. S. Imamura, et al. Higher oxytocin concentrations occur in subjects who build affiliative relationships with companion robots. iScience, Vol. 26, No. 12, 108562, 2023. ↩

  4. 斉藤翔吾, 橋山智訓. ユーザの性格と癒しロボットとのインタラクションの関係分析. HAIシンポジウム2025, P2-22, 2025. ↩

  5. 林里奈, 加藤昇平. 短期的なふれあいにおけるロボット介在活動とぬいぐるみ介在活動のストレス緩和効果の比較. 計測自動制御学会論文集, Vol. 55, No. 1, pp. 2–7, 2019. ↩

  6. J. Moskaliuk, C. P. Burmeister, F. Landkammer, B. Renner, and U. Cress. Environmental effects on cognition and decision making of knowledge workers. Journal of Environmental Psychology, Vol. 49, pp. 43–54, 2017. ↩