情報の偏り

column B4

こんにちは、B4の林です。前回は、コミュニケーション中の感情情報について紹介しました。
今回は感情の話を少し離れ、情報の偏りについて触れたいと思います。

情報収集の手段

私たちは、さまざまな方法で情報を得ています。本を読んだり、友人との会話中であったり、テレビやラジオを見聞きしたり、インターネットを利用して検索したりと方法はかなり多様です。それら情報収集の手段の中で, 「インターネットの検索サイト(GoogleやYahoo!等)で検索する(Twitterのツイート等をする場合を含む)」 という回答が 約7割 というアンケート結果があります[1]。このアンケートは、100万人以上の都市在住者から町村部在住者までの10・20代から60代以上の各代80人の男女を対象としています。

このアンケート結果から、世代は関係なくインターネットを利用した検索で情報を得ていることがわかります。

情報の量

インターネットを利用することで、利用しない場合と比べて一目で得られる情報の量が格段に増加します。

テニスでの検索結果(検索日: 2021年11月4日)

私が好きなテニスで検索をしてみました。一目で得られる情報として、

  • パリ・マスターズという大会が2021年10月30日〜11月7日まで開催されていること
  • 現在2試合おこなっていること
  • テニスに関するWikipediaの情報

などがあります。
検索結果としても約2億5300万件と膨大な情報が存在していることがわかります。このようにインターネットを利用した検索では、多くの情報を得ることができるのです。

情報のパーソナライズ化

多くの情報があることがわかりましたが、全ての情報に目を通すことはできません。そのため、情報の取捨選択がどうしても必要です。
取捨選択を勝手にやってくれるアルゴリズムがあり、自分の興味のある情報だけを目に触れやすくしてくれたら便利ですよね?

アマゾンの場合

楽天市場の場合

Amazon楽天市場などのネットショッピングのサイトで馴染みがあるかもしれません。このようなサイトでは、ある商品を閲覧すると似た商品やセットで買うような商品を推薦してくれます。そしていつしか推薦されるものは、自分の興味のあるものが多くなっていきます。

このように、情報をパーソナライズ化する技術があります。パーソナライズ化することで個人に合わせた情報をストレス無く閲覧することができるようになります。

これは、インターネットの検索サイトの検索結果にも利用されています。

問題点

先に述べたように情報をパーソナライズ化し、見る側は主に興味のある内容だけを見ることができます。しかし、情報を絞りすぎるのも問題です。
フィルターバブルという問題があります。

フィルターバブルとは、利用者が接する情報の範囲に関する問題です。推薦などの個人化技術により、利用者は知らないうちに関心があるとされる限定された話題の情報 のみ にしか接しないようになっており、まるで「泡」の中に閉じ込められたような状態になります。
そのため、利用者がより新たな話題に関心を持つ機会が奪われたり、社会の中での情報や認識の共有が困難になったりするなどの影響があると Pariser が指摘しています。[2][3]

このように、情報が限定されてしまうと判断材料が偏ってしまいます。例えば選挙のような話題では、「○○さんに賛成」の情報ばかり提供されるようになり、選挙の話題を俯瞰で見られないようになる危険があると示唆している方を見かけました。[4]

まとめ

今回は、情報の偏りについて述べました。情報をパーソナライズ化することでのメリット・デメリットはさまざまあります。今回は触れませんでしたがフィルターバブルの問題だけでなく、エコーチェンバー現象(Wikipedia)という問題もあります。

情報をパーソナライズ化することを全否定しているわけではありません。パーソナライズ化されることで、 情報の視野が狭く なっていることを知っていていただきたいです。
賛否があるような話題を調べる際には、自分が目にしている反対の情報、あまり触れていない情報を調べてみるように心がけてみてください!

拙い文章でしたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。今回調べた内容が卒業研究に生きてくればと思います。

参考文献

[1] 総務省:社会課題解決のための新たな ICT サービス・技 術への人々の意識に関する調査研究, p28, 2015.
[2]Pariser, E.: The Filter Bubble: What The Internet Is Hiding From You, Viking, 2011.
[3]パリサー イーライ, 井口耕二:閉じこもるインターネット_グーグル・パーソナライズ・民主主義, 早川書房, 2012.
[4] ELEMINIST(最終閲覧日: 2021/11/4)

写真出典: TED

文責: 橋山研究室 林慎己

Previous Post Next Post