M2 の荻野です。陸上競技や Web/アプリ開発が趣味です。研究では、社会人により運動を促進させることを目的としたシステムの提案を行いました。
M1 の荻野です。現役で陸上競技をやりながら研究しています。大体こんな感じの属性です。
上述のとおり僕は運動することが大好きで、運動をすることによる体や精神への良い影響をいろいろな人に知って欲しいと思っています。
特に社会人になると運動をする人が減り、運動不足による生活習慣病に悩まされる人も少なくありません。僕はそういった人たちに「もっと運動して欲しい」という願いのもと研究をしています。
修士論文では、運動が創造性を上げることとナッジを利用した自然な運動の促進と会議の質の向上を促すシステムを提案しました。
運動の心理的ハードルを下げ、運動の動機づけを支援するシステムは、ナッジという自発的に望ましい行動を選択するように促す仕掛けや手法を活用するものが提案されています[1]。会議の質の向上を支援するシステムは Guilford の認知的思考過程[2]を基にした新しいアイデアを考える発散的思考を用いる会議と、一つの答えを導き出す収束的思考を用いる会議の 2 種類に分けられ提案されています[3][4]。とくに、新しいアイデアを考える発散的思考を用いる会議はブレインストーミングなどで盛んに行われており、軽い運動がそういった思考に有効であることが既に示されています[5]。しかし、運動を会議に取り入れることで会議の質を向上しようと試みている研究は存在しません。そこで、自然な運動の促進をナッジにより実現し、インセンティブとして会議の質を向上させる要素を組み込むことができれば、運動の促進とアイデアを考える会議の質の向上を同時に実現できるシステムになると考えました。
Web 上の実験システムにアクセスしているユーザのスマートフォンの加速度変化に応じてグラフが埋まっていき、グループ全員で運動することによって画面中央に表示されている単語がしりとりで繋がるように変化します。 運動をすることでグラフが貯まることは、ナッジの原則のうちの「フィードバックの提供」にあたります。加えて、運動をすることでしりとりの単語を提示することで、新しいアイデアを考えるときに有効な手法とされているブルートシンク法[6]を自動で実現します。これはナッジの原則のうちの「インセンティブ」にあたります。このシステムを使うことでアイデアを考える会議の質が上がるかどうか、運動が促進できるかどうかを実験で検証しました。
実験の結果、会議の質を測る指標(アイデアの数やアイデアの独創性)ではシステムを使用する条件が使用しない条件よりも良い結果となり、運動量は有意に増加することがわかりました。このことから、提案システムが運動の動機付けとアイデアを考えるような会議の質の向上に有効である可能性が示されました。