こんにちは,学会の準備でてんてこ舞いの松原です.
皆さんはプロ野球を普段どれぐらい観ますか?
今回はプロ野球球団「ホークス」の事を紹介していこうと思います.
2021年現在,日本で最も強い球団といえば福岡ソフトバンクホークスでしょう.
福岡ソフトバンクホークスは圧倒的な資金力を背景としつつ,巨人V9以来の4年連続日本一(V4)を達成し,現在のホークスはまさに 「無敵の若鷹軍団」 です.
球団の特徴として,「生え抜き育成」「地域密着」「新しい物好き」の3つに力を入れている事があると思います.
まず,「生え抜き育成」.ホークスは,柳田選手,松田選手,千賀選手,甲斐選手,周東選手など,恐らくテレビ等で聞いたことのあるようなスター選手の多くを自前で育てています.特に3軍の育成システムによる育成の成功がよく言われています.
次に「地域密着」については,ホークスは福岡,そして九州の市民球団として地域密着のファンサービスにも力を入れ,「ファイト!九州」プロジェクトなどを継続的に行っています.
また,親会社のソフトバンクと同じく「新しい物好き」で,昨年12球団初のVTuberをデビューさせました.他にも新しいことに次々とチャレンジしている印象です.
私の友人に,大阪出身のホークスのファンがいます.
大阪といえば,「阪神タイガース」のイメージが強いと思いますが(事実,彼はセ・リーグでは阪神タイガースのファン),何故ホークスが好きなのかと言うと,彼は「南海の残党」だと言い,「緑色」のホークス応援団を見て喜ぶのです.
では,「南海の残党」とは一体何なんでしょうか?
ホークスはかつて,「南海ホークス」と言う名前で,大阪の難波(なんば)にあった球団でした.
南海ホークスは1リーグ制時代からの強豪で,鶴岡一人監督の元,杉浦忠,野村克也,広瀬叔功らが活躍しました.
一時は阪神タイガース以上の人気のチームだった様ですが,成績・人気ともに低迷し,1988年にホークスは南海からダイエーへ身売りされ,球団も大阪から福岡に移転してしました.その際に,大阪の南海ファンから移転反対運動が行われましたが,その声は聞き入れてはもらえませんでした.
ホークスが福岡に行った後も,少なく無い数の南海ファンが関西の球場で応援を続け,現在も関西独自のチャンステーマを流したり,南海時代の応援歌や応援スタイルを継承して今に至っています.
先ほど紹介した友人は福岡にも住んでいたらしいですが,祖父母が南海ファンで,その影響で(生まれた時には既に無かった)南海の「残党」と言う意識があるらしく,KANSAIクラシック(例年GWごろに大阪ドームで開催されていた阪急・南海・近鉄の復刻試合)には毎年必ず行っていたそうです.
(ちなみに,ホークスの試合を見に行くと「NH」と描かれた南海ホークスの色褪せた緑色の帽子を被った年配の方を見る事があります.)
ここまで大阪の南海ホークスの話をしていきましたが,かつて福岡には西鉄(にしてつ)ライオンズと言うプロ野球球団がありました.
ライオンズは「野武士軍団」と呼ばれた福岡の強豪チームでしたが,低迷期や身売りを経て,1978年に福岡から埼玉の所沢に移転してしまいました.
これにより,1988年にダイエーホークスが移転してくるまで福岡にプロ野球球団が無い時代が11年間続きました.
2019年に公開された映画「めんたいぴりり」の劇中に,往年の「南海ホークス対西鉄ライオンズ」の試合を観に行くシーンが出てきます.
西鉄と南海は昭和30年代にパ・リーグの覇権を争ったライバルチーム。1955~64年に西鉄、南海とも4回ずつリーグ優勝している。西鉄本拠地の平和台球場(同市中央区)では、稲尾和久VS野村克也、中西太VS杉浦忠などの名勝負が繰り広げられ、満員のファンを熱狂させた。
西日本新聞 2018/3/1 https://www.nishinippon.co.jp/item/n/397862/ (2021/4/22閲覧)
ホークス,ライオンズ共に,今までは様々な事情から過去を振り返る活動は少なかったですが,2008年ごろから過去の球団をリスペクトした活動が大阪と福岡で行われています.その中でも,直近で話題になった活動を2つ紹介します.
南海ホークスの看板選手といえば,野村克也さん(1935-2020)でした.
野村克也さんと言えば,ヤクルト監督時代の「ID野球」や楽天監督時代の「ぼやき」で有名ですが,南海ホークス時代には戦後初の三冠王を達成し,昭和48年(1973年)には「四番・正捕手・兼任監督」としてホークスを優勝させました.
※三冠王:打率,打点,ホームラン数全てでリーグ一位となった選手のこと
そんな野村克也さんの功績をホークスの歴史に残すため,昨年からクラウドファンディングが行われ,大阪球場のあった場所に建てられた商業施設「なんばパークス」に野村克也さんの展示が出来ました.
コロナが収まったら,ぜひ大阪に見にいきたいです.
今年の4月4日,福岡天神の西鉄グランドホテルにて,西鉄ライオンズ球団発足70年を記念して「西鉄ライオンズの軌跡展」が開催されていたので観に行きました.
会場には多くの方が訪れ,往年のライオンズについて話に花を咲かせていました.
西鉄グループは今年の夏にもまたライオンズのイベントをやるそうなので,是非チェックしていきたいです.
この様に,「九州のホークス」の前には「大阪のホークス」と「九州のライオンズ」がありました.
2021年現在,ホークスは33年もの長い時間を福岡・九州と共に歩んでいます.
これは単純な長さだけを比較すれば「ライオンズ」よりも長い期間です.
しかし,ホークスには大阪というもう1つの「故郷」があり,それぞれの土地に「ホークスファン」が息づいています.
現在のソフトバンクホークスは九州のファンだけでなく大阪のファンも大事にしてくれている様ですが,今後も ずっと球団が存在して 活動を続けて行くことを切に願います.
文責: 橋山研究室 松原 弘明
ご意見等:h.matsubara[あっとまーく]uec.ac.jp
参考文献: