M1の小林です。
皆さんは、最近どの程度外出していますか? コロナ禍で感染対策が必要ですが、他人との接触を避け、外を出歩くのも良いものです。
今回は、電通大のある首都圏での外出には欠かせないツール、 乗換案内アプリケーション について、まずは定義をおさらいし、そのあと歴史・最新機能・将来について概観していきます。
乗換案内 は、皆さんがある出発地・目的地の間を移動したいとき、システムが皆さんに代わってたくさんの公共交通機関の路線図を参照し、最適そうな経路を教えてくれるアプリです。
最適”そう”という通り、厳密な最適経路を求めることはあまりありません。それは、次のような理由があります。
こんな乗換案内アプリは、様々な会社によって、独自の経路検索エンジンを構築し提供されています。今でこそ「乗換案内」の名前は広く浸透していますが、実はこの名前はジョルダン株式会社が最初に使ったもので、他社では「乗り換え案内」「経路検索」「路線情報」と名乗ることもあります。本稿では、これらを総称して「乗換案内」と称します。
初期の乗換案内は、一部の鉄道路線のみが利用可能なもので、CD-ROMに焼いてあるパッケージ商品として売られていました(今も売っていますよ!)。
やがて
と、時代を経るごとに、対応範囲は広く、検索方法はより賢くなる形で進化してきました。
今の乗換案内は、いろいろな機能を持っています。ただ出発地・目的地を入力して経路を教えてもらうだけではないんです。
スマートフォンから利用する場合、多くの乗換案内アプリでは、 GPSによる位置情報 を使って出発地の入力をスキップできます。つまり「今、この場からあそこへ行きたい」というときに、現在地の位置情報を出発地として利用することができます。
多くの乗換案内システムでは、今や、出発地・目的地に駅名やバス停名だけでなく、住所、建物名など、 自分の思うままの手がかりで場所を入力可能 です。例えば、出発地に自宅住所、目的地に大学名を入れれば、家から大学までの徒歩経路・乗車列車のすべての案内を受ける事が可能です。
初めての場所で絶対遅刻できない時、この機能で事前に調べておけば万全に準備ができますね。
スマホアプリ「Yahoo! 乗換案内」で特徴的な機能として、検索結果に表示されてる時刻をタップすると、 候補列車より先に/後に発車する列車に切り替えて再検索 することが可能です。
例えば、「乗換案内の通りに列車に乗ったつもりが、1本早いのに乗っちゃった」というときにこの機能を使って今乗ってる列車を選べば、この後の乗換がどうなるか、ナビゲーションしてくれます。
首都圏の一部の交通機関では、今、どこに電車がいるかという、 リアルタイムな運行情報をオープンデータ化しています。このデータを用いて、乗換案内アプリは、常に最新の運行時刻をユーザに提示できるようになりました。
今はまだβ版ですが、JR東日本では、リアルタイムな運行情報に基づいた乗換案内を提供しています。つまり、かつては電車が遅れていると乗換案内アプリが役に立たなくなってしまっていましたが、今や、遅延時間も加味した乗換案内が実現しつつあるのです。
乗換案内システムは、考慮に入れるデータを増やしたり、どんな状況でも使えるようにしたりといった方向性で発展してきました。
今後は、スマートフォン側が賢く状況を察知してユーザの予定から全ての移動プランを出してくれたり、家を出てから目的地までのすべてのタイミングでカーナビのように歩く方向を教えてくれたりするような乗換案内システムが実現するかもしれません。
乗換案内がますます発展し、どこでも、誰でも、バリアのない移動が実現できる世界を、これからも探求していきます。
[1] 池上ら(2008), “鉄道運賃計算のための最安運賃経路探索 : 複数の鉄道会社を含む場合”. 日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌 vol.51. pp.1-24.