「BGM」の隠された魅力

column B4

B4 小川です。

この記事の話題は、「BGM」についてです。
(なおここでのBGMは、一般的に映像作品などに用いられる歌のない楽曲を指すことにします。)
普段注目されることの少ないBGMですが、
その魅力などについて書きます。

歌曲の影の「BGM」

普段、みなさんはどんな音楽を聴きますか?

音楽をただ聴くという行為があまり習慣的ではない人もいるかもしれませんが、
心のどことない隙間を埋めるために、ちょっとした時間に手軽に楽しめるものとして音楽を聴いている人は多いでしょう。

多くの人が聴くのはおそらく歌、つまり歌詞付きの楽曲ではないでしょうか。
昔から好きなアーティストの曲、流行りのアーティストの曲、好きなアイドル系グループや歌手の曲など...

テレビなどにおいても、やはり最もよく取り沙汰されるのは歌モノです。
そこには歌っている人々や踊る人など、目に見えた「パフォーマー」がいるから、つまりタレント的側面を以て取り上げられているのではないか、と思います。
(もちろん、あまり自らメディア出演しないアーティストも少なくないとは思いますが。)

歌でも、時代ごとに象徴的な歌や、小さい頃に聞いた歌など、個人の思い出に根差したものは形成されるでしょう。
十分に思い出の一部になり得ます。

しかしここで考えてみると、歌曲に隠れている音楽があるのです。
それは歌に対しての「BGM(Back Ground Music)」= ここでは歌のない作品として作られた楽曲のこととしまして、これはインストゥルメンタルとも呼ばれます。
一般的にはアニメやドラマ、映画など映像作品の裏に流れるもの(「劇伴」とも)、それらがテレビで使用される場合や、ゲームBGMなどの出現場面があります。


本記事では、隠れがちな音楽「BGM」に焦点をあてて話をします。


なぜBGMは隠れるのか?

ドラマやアニメでもどちらかといえば主題歌の方が注目されていて、BGMはあまり世間的には注目されないのが一般的であるように思われます。

先ほども述べたように、歌曲には「パフォーマー」がつきものです。
例えばバンドであれば演奏を売る人々ですから、メディアで取り上げられやすいでしょう。

一方BGMというのは、ある一作品に対して音楽を作る担当の人が一人いて、その人がほぼ全て作ることが一般的です。
どうしても、その人は「スタッフ」に数えられてしまうのです。
(広い意味で言えば主題歌アーティストも「スタッフ」ですが。)

つまり、映像作品における音楽の立場としては、主題歌はその作品を象徴する音楽として広く知られることになりますが、
一方でBGMは種類も多く、あくまで裏方という立場になります。
さらには歌がないということは、カラオケで歌われるなどということも無論ないわけです。共有できる場の少なさという点では明らかな不利点です。

さらに、そもそも熱烈なファンでない限り、そこまで深堀りするほどのコンテンツではないと多くの人に思われている、という現状もあるかもしれません。

こうしてみると性質上仕方のないこととは考えられるのですが、
その作品を象徴しうる音楽がたくさんあるのに、あまり注目されないのはもったいないことのように感じます。


また、ゲームにも一般的にはBGMが存在して、こちらの方がまだ注目度合いは高いのでは、と考えます。
ゲーム体験自体が主体であるのはもちろんですが、その各場面を象徴するのがBGMであり、
ゲームの一要素として ストーリー、グラフィック等と並んで「音楽」という風に、ゲームを評価する大きな項目になっていることが多いでしょう。

しかし、各ゲーム内容にもよりますが、ゲーム体験の一部として音楽をあまり意識していない人も少なくないのではないでしょうか。
お手軽な最近のスマートフォンゲームだと少々似つかわしくないことかもしれません。でも、特に中身の濃いゲームではよい音楽に溢れていることが結構あると思います。
ぜひ今まで気に留めていなかった人は、気に留めてみてはどうでしょうか。


BGMの魅力

1.色々な種類の音楽

BGMは、映像にしろゲームにしろその各場面を象徴するものです。サウンドクリエイターは、その場面に合うような曲を想定して曲を作ります。
楽しい場面なら楽しげに明るく、間の抜けるような場面では気が抜けたように、ちょっと悲しい場面ではしんみりと涙を誘うような... という感じです。

こういった毛色の違う音楽が、ひとまとめに色々あるわけです。このような多種性がBGMの魅力のひとつです。


2.感情の増幅

音楽には、気持ちをある程度操作する力があります。
操作といっても、今の感情と別の方向にさせるのではなく、感情を増幅させる効果があると思うのです。

例えばいい景色だなぁと思った時、その景観に合うような音楽を聴けば、感動もひとしおです。

歌でも気持ちを増大させる効果はありますが、
歌のない音楽の方がスッと入りやすいこと、さらに言葉が含まれないことによって適合する感情や情緒の範囲が歌曲に比べて広まるのではないかと感じています。
よって、歌のない楽曲の方がより大きな効果を生み出すと考えられます。
(これについては好みなどによって両論あるかもしれませんが...)

他にも普段の生活の中で聴いたり、外へ出かけた時に聴いたり、あるいは落ち込んだ時などに自分の感情に合わせた曲を聴いてみたりと、BGMはより実生活に根差した音楽として聴ける、というのが大きいと考えます。

また、こうした感情の増幅の裏には、もし自分が見聞きした作品におけるBGMの場合、
その場面自体が作品を体験した時の記憶として頭の中にあるので、どのような感情を持つ曲(場面)なのかということがより直感的に想起されます。
これもまたBGMによって感情移入や増大が起こりやすくなる要因のひとつになりうるのではないかと感じています。


3.様々なジャンル

BGMは、その雰囲気を出すために音楽のジャンル的指向から作られることもあります。
そういう意味では、様々な音楽のジャンルに出会える機会にもなり得るのです。

そうして知った音楽性から好きなジャンルを漁ってみて聴いてみる、という新たな音楽との出会いにつながります。


まとめと展望

BGM、もといインストゥルメンタルは世間的には隠れがちな存在ですが、少なくとも音楽が好きな人にとっては魅力に溢れているものであることは多いでしょう。

好きな作品のものは十分に聴いてみる価値があります。それは生活を豊かにする可能性を含むはずです。
文字通り、作業の傍らの背景音楽として聴いてみるのもよいと思います。

BGMを含む体験を通してその良さを広めるには、音楽として聴ける機会を増やすなど何らかの新たな方策が必要になろうかと思いますが、
今まであまり気にしてこなかった人はぜひ、その魅力に触れてみてください。

Previous Post Next Post