こんにちは。B4の笹川です。研究室に配属されて以来、本を読む機会が増えました。
このような言い方をすると学生然としていて聞こえが良いですが、実際には必要に駆られているだけなので、好きな本を読んでいる時とは違って、その本を読む動機付けをしたくなってしまうということが間々あります。
そんな思いが高じて、”本は人にどんな恩恵を齎してくれるのか”という読書の意義を自分なりに見出そうとしたところ、いくつかの興味深い研究を見つけましたので、この場を借りてアウトプットしていこうと思います。
ヒューマン・コンピュータ・インタラクションという分野では、その名の通り、人と機械を繋ぎ、機械によって人間の能力を拡張することが一つの目標とされています。
実際に、気象システムによる天気予報は人に予知能力を授け、テレプレゼンスの技術は擬似的にテレポーテーションを実現していると言えます。
このように技術の発展によって人間の能力は日々拡張され続けていますが、テクノロジーとは別軸にある、読書もまた人間の能力を拡張することが出来るのです。
皆さんが想像するような、読解力や語彙力、文章力などは勿論ですが、それ以外にも興味深い能力の拡張について、次のような研究成果が報告されています。
つい50年ほど前までは平均寿命が60〜70年であったにも関わらず、今では人生100年時代なんて言われていますね。
そんな時代とともに伸び続けている人間の寿命ですが、読書によって寿命が伸びるという研究結果があります。
その論文によると、本を読む人は読まない人に比べて約23ヶ月ほど生存時間が延び、死亡リスクが約20%低下することがわかっています。
特に新聞や雑誌よりも書籍を読んだ場合の方が有意に生存率が向上したことも確認されています。
本を読むことが人の健康状態に繋がるという結果には驚きました。生存率の向上はどうやら認知機能の向上に起因しているようです。
物語を読んでいて、登場人物の感情や心情をトレースするといった体験は誰しも身に覚えがあるのではないでしょうか。
そのような共感がどれだけ現実のものに近いのかを調べるために、下記の論文では、脳の処理系統を表現するマップを作成し、物語を読んだ時と実際に現実世界で同じ体験をした時でマップを見比べたところ、脳の反応する領域が一致したことが報告されています。
つまり、読書によって共感を司る脳の領域を繰り返し活性化させることで他人に対する共感力を高めることができるのです。
映画や本に登場する人物に感情移入して泣ける人は生来的に感性が豊かな人だと思っていたので、読書によって獲得出来るという事実は個人的にも朗報です。
そんなことは知っていると突っ込まれてしまいそうですが、実際どの程度のものなのか気になりませんか?
私は気になったので、定量的に証明しているソースを見つけてきました。
参考の1つ目に載せた論文では、読書中に遭遇した未知の単語のうち約15%を学習することが示されています。
この結果を多いと見るか少ないと見るかは個人差ありそうですが、私個人としては結構覚えるものだなと思いました。
因みに、日本人の20代の平均語彙数は約30000〜40000語とされていますが、皆さんはどうでしょう?
簡単な語彙力テストを参考の2つ目に載せておきますので興味がある方は是非測定してみて下さい。
読書の意義というものは本の数、そして人の数だけ存在するのかも知れません。
しかし、”今”、私が研究室で本を読むことの意義は次の言葉に集約されている気がします。
どんな問題に悩まされていても、自分より遥かに賢い、誰かの書いた何かの本を読めば、どこかに対処法が書いてある。
アメリカのベストセラー作家ライアン・ホリデイの言葉です。
思えば、研究室に配属されてから、私は問題を抱えてばかりいます。
研究をしようにも、専門的な知識が不足していますし、テーマを決めるためのアイデアもありません。
きっと、私はそんな問題に対処するために本を読んでいるのでしょう。
もし、皆さんも何か不安や悩みを抱えることがあれば、是非本を読んでみて下さい。
必ず、そこにヒントが書かれているはずです。