旅の楽しみいろいろ

column B4

B4 小川です。

今回の話題は、「旅」についてです。
ひとくちに旅といっても、さまざまな形があります。
ひとりでゆったりと、或いは複数人で盛り上がりながら、といったように、
人数をとっても違った旅のカタチがあるわけです。

※筆者はほとんど海外旅行はしたことがないので、基本的に以下では国内旅行を考えた話をしています。ご了承ください。

◇人数による違い

最も大きな制約となると私が考えるのは、人数です。
1人と2人以上では、その間に大きな壁があります。

1.一人旅

これは完全にひとりなので、旅行の行程を決めるのは自分自身、その計画を立てた旅行を実行するのも自分ひとりのみです。
そのため、食べ物に重きを置くのか、それとも宿か、風景か、といった、価値観による事柄は自身で自由に決定することができ、同行者がないので他の人に影響を与えることがありません。これは大きな利点の一つです。


・一人旅の目的

一人旅の主な目的は、
「旅」として見聞きする経験をより深く味わう というところにあると考えます。

例えば、静かな広々とした景色をひとりで見ていると、しみじみとした気持ちになることがあります。


一方、2人以上の場合にはどうしても「そばに人がいる」ので、基本的には他人(ここでは自分以外の人という意味)の存在を感じてしまうわけです。
もちろん複数人でも、美しい風景を一目見たときの感動というのは、共有できる場面があると思います。
しかし、本当にしみじみと深く、長く体感を味わうことは、ひとりでいるときだけにできる という場合が多いように思えます。

ひとりでいるからこそ、「旅での経験をより深く味わおう」という気持ちも自然とおこるものです。

・一人旅の不利点

ひとりであることの良い点は、上述のように大いにあります。 しかし、一人旅の欠点は、ひとりであることそのものに起因するものです。

万一、何か危険な状況に陥ったときや、想定外のことが起こったとき、ひとりでは自分だけで解決しなくてはなりません。 複数人であれば、「会議」が可能なので、話し合ってどうすべきかを決定することができ、より結果として合理的な行動に至れる可能性が高くなると思われます。

また、ひとりでいることで深く感じることができますが、周りに会話をする人はいないので、反面そういった意味では「さみしさ」もあります。

2.グループ旅(2人〜7,8人程度)

2人以上で、過度に大所帯にならない程度までの人数で、普通にグループでの旅というくらいのもの。
会話を楽しみながら移動したり、出先の飲食店で食事をとるとき、料理をシェア(見る・食べる共に)できるのも楽しみの一つです。(現状ではなかなかはばかられる部分もありますが...)


・グループ旅の目的

グループ旅としてのユニークな目的は、「旅の時間を共有すること」にあります。
友人・知人と共に過ごした一連の体験としての記憶が、「思い出」として残るわけです。
これが最も大きいと私は考えます。

・グループ旅の不利点

先程も一人旅の項で述べたように、周りに人がいるため、しみじみと感じていられる時間というのは限られてきます。

また大きな問題として、各人の価値観の違いがあります。およそ価値観や趣味の近い人どうしが集まって旅行することが多いとは思いますが、その場合でも微妙な違いというのはあるでしょう。

同じ行程を共にする人数が多ければ多いほど、異なる価値観を持つ人間が増えやすいです。
そのため、あらかじめ行程を決めた状態から募集をかけるといったような状況でない場合は、全員の合意が取れるような旅程を組むことは難しくなる傾向にあります。

例えば金銭的な問題としては、安い交通手段を使用し、その分長時間の移動になるのを許すか、或いは多少金額がかさんでも速く着く快適な交通手段を使うのか、
この辺りも(時と場合によることもありますが)各々でどちらがいいか、というのは違ってきます。

3.団体旅行

さらに大人数になってくると、個人間で構成されることは珍しく、組織として構成されることがほとんどです。
学校での研修旅行や修学旅行、或いは大所帯な部活・サークルでの合宿が考えられます。

ここまでの大人数になると、コミュニティはいくつかに分かれます。
人数が増えるほど、ほぼ他人(面識や交流のあまりない人 の意味)である人も増えるので、周りにいる人たちの身近さは薄くなる傾向にあるでしょう。   
結果として、小グループでの行動が主となり、2.グループ旅の状態に加えて周りに行程を共にする人の数が単に増える、という状況になるかと思われます。

或いは、申し込み型のツアーもこれに当てはまりますが、行程を共にしながらも友人や家族以外の周りの人々は完全なる他人、という点が異なります。 

◇何を楽しむか? の違い、それぞれの楽しむポイント

先ほどにも、食べ物を重視するのか、宿を重視するのか、という話をしました。
何を主軸に考えて行程を組むのか、ということです。
これらのいくつかについて書いてみようと思います。

・食べ物(グルメ)

その場所でしか食べられないもの、或いは特定の料理の本場の味や独自のスタイルを求めて行く、というのは十分に旅の動機になり得ます。
たいてい、地名がついて呼ばれることが多く、或いは直接地名はつかなくても「ここといえばコレ!」というほどの有名なものがあります。
ex) 広島焼き、盛岡冷麺、讃岐うどん、札幌ラーメン、近江牛、出雲そば など

牛タンカツカレー 仙台駅にて


これらに関しては、目標とするものによって、お金がかかるのか、そうでないのかという点は変わってきます。
ブランド牛などであれば高いものになる可能性は大きく、B級グルメと呼ばれるくらいのものであればそこまでのお金を必要としません。

食べ物についても、一人旅であればじっくりと味わいグループ旅行であればシェアしつつ楽しむことができるという、若干違った楽しみがありますね。

・宿

温泉宿に泊まって雰囲気を堪能するか、街中のビジネスホテルに泊まるのか、といったような選択肢が存在します。
ビジネスホテルの中でも、大浴場や温泉つきでゆったり入浴できるものや、かなり充実したサービスを標準的に用意しているところなどもあり、そのような選択肢の広がりもあリます。


基本的に、大きな旅館やサービスの充実したホテルであるほど、お金がかかるのは明白です。
そこで考えるのは、何に対してもそうですが、コストパフォーマンスでしょう。

宿泊料金に対してより割りの良いサービスを受けることができれば、「いい宿だった」と感じるわけです。

・移動手段

移動手段には、どれだけの距離が離れているかにもよりますが、自家用車、電車、バス、飛行機、船など色々なものがあります。 


基本はその時々に応じて最も効率のよい手段を選ぶわけですが、 どこか目標とする地域へ向けて、長距離を移動することを考えてみます。

長距離、長時間の移動では、その中で過ごす時間が重視されています。
例えば、列車の中でさまざまなサービスや特別な座席を提供するような、観光向けの列車があります。
ex) しまかぜ(近鉄)、サフィール踊り子(JR東日本) など


(https://www.jreast.co.jp/saphir/ より)


それなりにお金はかかりますが、退屈になりがちな移動時間をゆったりと、満足度高く過ごせる時間にできれば、そこに価値が生まれてくるのです。
このようなものは、たいてい声高に宣伝されていて、人気も高いものになっていることが多いです。

また移動時に見える風景も、楽しみの一つとなります。
高速道路では両側の高い壁や多数のトンネルのおかげであまり豊かな景色が見られないかもしれませんが、
列車で普段足を踏み入れないような渓谷や山の中、広々とした田園地帯の中を通る時の車窓や、飛行機で上空から見える地上の様子などは、見ていて飽きないものも多いです。


そして、前にも述べましたが、移動にお金をかけるかどうか、という点は大きな問題です。
もちろん、物理的に=経済状況的に可能かどうか、という問題にもなりますが、
快適性・速達性は失われても、とにかく安く、遠いところまで行く方針をとるのか、 或いはお金をある程度かけて、速く快適に目的地へ行くのか。

どちらをとるかは、旅行をする当人の価値観や(経済)状況による、というわけです。

・写真

これは旅行の行程として何をするか、という部分には直接は関係しないところもありますが、 旅の記録を写真(或いは動画)として残すことは、現代では手軽にできるメモリアルな行為です。

撮る対象はさまざまです。
風景や食べ物、建造物や施設、乗り物などを撮ることが多いでしょう。
風景などの写真をそれのみで撮るのか、記念として自分(たち)をフレームに入れて撮るのか、或いはその両方か、といったこともあります。


例えば私の場合は、ことあるごとにとにかく写真を撮っていくタイプなので、数日の旅行をした時にはその間だけで数百枚撮っていることはよくあります。
ただ一方で、自分(ら)をフレームに入れて撮ることはほとんどしないタイプです。
個人的には、あまり自分を写した写真に価値を感じないからです。

この辺りも、それぞれのパーソナリティによって違ってくる観点でしょう。

どちらにせよ、写真や動画として旅の記録を残すことは、非常に大事なことだと考えています。
携帯さえあれば簡単に撮影ができる時代ですから、撮影したものはぜひ、自分のパソコンなどに確実に残しておくことをおすすめします。
ふとした時に見返してみると、思い出に浸れる時間ができてよいと思います。

その他

他にも、綺麗な風景や壮観な景色、寺社仏閣やその他施設などを目的とする場合があります。


また近年ではキャンプがブームとなり、その場合はキャンプサイト、野外で作る料理なども楽しみとして考える部分になります。


そして、これらの「楽しみ」ポイントは、もちろん一回の旅につき一つのみを重視するとは限りません。
予定を立てるとき、それぞれの好みに合わせてその場所その場所で選択をして、旅をする当人(たち)が価値ある旅になると一番に思える形にできるだけ近づける、というのが、旅程を決める際の目標になるのです。


[参考 〜 JTB 旅行年報]

今回の話題に関係する調査結果として、JTBが集めた旅行に対する意見調査があります。

日本人の旅行に対する意識(2020)
https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2020/10/nenpo2020_1-4.pdf


この調査では、行ってみたい旅行先、行ってみたい旅行のタイプ=何を一番優先するか、旅行の一番の動機などについてアンケートを行っています。
あらかじめ用意された選択肢に対して、複数回答をしてもらったという調査方法です。
中でも動機に着目すると、

1位は「旅先のおいしいものを求めて」、
2位は「日常生活から解放されるため」、
3位は「思い出をつくるため」

という結果になっていました。

今まで述べてきた中でこれらの項目については、その質を考えないとすると、人数にはよらない要素であるように思えます。
2位の「日常生活から解放されるため」は、言語化された視点としては気づきませんでした。
しかし、旅という行為自体、どのような形であれその性質を持っているようにも思えます。

次に、一人旅とグループ旅に視点をあてて考えてみます。
専らひとりでの旅に直結すると思われる項目は「ひとりになりたい」のみで、22項目中20位でした。
一方で、それよりもやはり多いのは「家族の親睦のため」「友達とのつきあいを楽しむため」といった、グループ旅の目的に当てはまる内容でした。

このことからは、一人旅をしたい人よりも、複数人で旅をしたい人が多くを占めているのだろうという傾向がおおよそうかがえます。

しかしここでは、一人旅をよくする人でも、特別「ひとりになりたい」から行く、ということを意識している人はあまりいないのではないか、とも思うわけです。
一人旅をよくする私としても、仲間がいればそれはそれで好ましいことだと思うし、今まで述べたようにそれぞれに違った楽しみ方があると考えています。

そしてもう一点、興味深い結果があります。
それは、男女、年齢別の調査結果の中にあります。
どんな結果かというと、年齢が高くなると、男性よりも女性は「家族の親睦を深めるため」を回答とした人の割合が減る傾向が強かった、ということです。
男女で旅行に対する意識が多少異なる部分があるのは、各性別のパーソナリティー傾向や、現状の中高年世代の時代背景を考えると、古くから残ってしまった社会的な立場の要因などが考えられそうです。  

◇まとめ

今回は、実際あまり考えない(意識しない)かもしれない、旅をするときのものの見方・考え方について書き下ろしてみました。

旅は、ひとりで行くときと、多人数で行くときでは違った楽しみ方があります。
ひとりでは、旅の経験一つ一つを深く味わうように、 グループでは、友人と共に過ごす時間を楽しむように。 それぞれに良い点、欠点の両方があり、部分的には互いに相補的な性質を持っているように思えます。
そして、旅において何を重きと見るかは色々あり、食べ物、宿、移動手段などがそれにあたります。
これらのうちどこに焦点を当てるのか、を選びとるということが、旅の行程決定、つまり時間とお金をどこに使うのか、を決めることに繋がっていくのです。

さらに、旅程を決定する時に見るもの、それは 情報 です。
交通手段を調べる際の時刻表や乗換案内、宿のサービスや施設についての情報、旅先の飲食店の情報など、
完璧に旅程を組む場合には、これらのさまざまな情報を徹底的に調べた上に、旅程が成り立ちます。

これから、旅の行程を決める際の情報検索および意思決定へのサポートができるような、情報学分野における提案が発展していけば、 もっと人々が旅を楽しむことができるようになるのではないかと思います。

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