こんにちは、B4の林です。前回は、感情を読むAIについて紹介しました。
AIによる感情分析は、我々人間が読み取る感情との比較により精度を向上させることを目標としています。
そこで今回はそもそもAIではなく、 我々人間がどのような情報で相手のことを理解しているのか 紹介しようと思います。
コミュニケーション中に我々が受け取る情報は大きく分けて2種類あります。それは、 言語的なコミュニケーションの情報 と 非言語的なコミュニケーションの情報 です。
言語的なコミュニケーションは発信者が言葉を使って相手と会話することをいい、この場合、発信者の声に出した言葉の意味と発信者の心情が相手に伝わります。
対面で相手の表情が見えてしまったり、相手の雰囲気や声のトーンを感じてしまったりすると言語的なコミュニケーションの情報以外を受け取っていることになるので、文章のみによるやりとりにおいて、もっとも言語的なコミュニケーションが行われていると言えるでしょう。
非言語コミュニケーションとは、字のごとく言語に頼らないコミュニケーションを意味します。相手のさまざまな情報を視覚で、聴覚で、嗅覚で、触覚で受け取ったり、間で雰囲気を感じ取ったりして判断しています。
詳しい分類は以下に示しています。[1]
かなり間をとって話している時には、相手が悩んでいる・困っている状況であったり、いつもより高い声で話していたら、テンションが高いと読み取れたりするといったことを我々は無意識に行っています。
非言語的なコミュニケーションの情報の分類例:
会話をしているときにどのくらいの情報が、言語的・非言語的なコミュニケーションの情報として伝達されるのか研究した研究者を紹介します。
非言語コミュニケーションの研究者レイ・L・バードウィステルは、
二者間の対話において、ことばによって伝えられるメッセージは全体の35%にすぎず、残りの65%が非言語コミュニケーションにより伝達される。[2]
としています。
また、同じく研究者であるアルバート・メラビアンは、
人間の態度や性向を推定する場合、その人間のことばによって判断されるのはわずか7%でしかなく、38%は周辺言語、55%は顔の表情による。[3]
としています。これに従うと93%が非言語のコミュニケーションの情報を頼りに相手の素性を判断していることになる。
この2人の情報を元に判断すると、 人間は言葉通りの情報(言語的なコミュニケーションの情報)を受け取るわけではなく、非言語的なコミュニケーションの情報を多く受け取るということ が分かります。
「目は口ほどにものを言う」や「背中で語る」というようなことわざがあることからも、文字からだけでない部分で相手のことを理解しているというのが分かるでしょう。
今回は、人間がどのような情報で相手のことを理解しているのかについて述べました。
今日、リモートワークなどで対面で人に会う機会が以前より減ったと思います。つまり、文章の言葉通りの意味が伝わりやすくなっています。誤解が生まれないようにメッセージのやりとりをしなければならない、と私はいつも気をつけています。卒業研究に向けて、文章だけの会話を誤解なく行いたい!と考えているところです。
拙い文章でしたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。今回調べた内容が卒業研究に生きてくればと思います。
[1] インターネットコミュニケーションにおける非言語情報,増田桂子,人文研紀要,283-300,2014
[2] Ray L. Birdwhistell, Kinesics and Context: Essays on Body Motion Communication. University of Pennsylvania Press, Philadelphia, 1970.
[3] A. Mehrabian, Silent messages. Wadsworth, Belmont, California, 1971.
文責: 橋山研究室 林慎己