こんにちは。M1の後藤です。
現在、新型コロナウイルスの影響によって、非日常的な生活を強いられています。ストレスや不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。そのような問題を少しでも解決すべく、今回はコロナ禍と個人的ノスタルジアの関係性についてお話ししたいと思います。
新型コロナウイルスが蔓延した影響により、私たちの生活は大きく変化しました。外出や人との交流は大きく制限され、自分のしたいことが思うようにできなくなりました。
新型コロナウイルスが生活者に与えた影響についての調査[1]では、「趣味娯楽」「移動」「友達交流」の時間が「減った」と回答した人が過半数を占めていました。また、「コロナ前の生活に戻りたいですか?」という質問に対しては、「戻りたい」と回答している人が74%を占めていました。このことから、新型コロナウイルスの影響で生活が変化した人、ポストコロナに戻りたいと感じている人が多いことがわかります。
内閣府が行った調査[2]では、コロナ疲れを感じると回答した人が7割を超えていました。コロナ疲れには具体的な定義はないようですが、以下のように説明されます[3]。
新型コロナウイルスによる様々な制約を受けることのストレスで、精神的に参ってしまう状態、新型コロナウイルス感染の猛威の中、先の見えない不安と休職による経済的な圧迫、自粛要請によるストレスなどが原因となり、イライラが収まらない、夜寝られないなどの症状が現れる心の不調のことを指すようです。
具体的には、強迫性障害、適応障害、うつ病(コロナうつ)、自律神経失調症などの心の不調があります[4]。
ポストコロナに戻りたいということは、楽しかった過去の思い出に憧れがあるということでしょう。ということは、個人的ノスタルジアと深く関係がありそうです。
「個人的ノスタルジアを感じよう!」では、個人的ノスタルジアにはさまざまな機能について紹介しました。コロナ禍における精神状態と絡めて、個人的ノスタルジアの機能についてもう一度考えてみましょう。
個人的ノスタルジアが喚起されると、悲しいネガティブな気分がよりポジティブに変化することがわかっています[5]。
コロナ禍ではどうしても落ち込んだりへこんだりしてしまうことがあると思います。時には、思い出に浸ると気が楽になるかもしれません。
個人的ノスタルジアは、顕在的・潜在的な自尊感情が高めることがわかっています[6]。また、個人的ノスタルジアは、人生に対する意味づけをしやすくすることも明らかになっています[7]。
コロナ禍では自分に自信が持てなくなったり、人生に行き詰まったりすることもあるかもしれません。そんな時には、一度立ち止まって、思い出に立ち返るのもよいでしょう。
個人的ノスタルジアが喚起されることによって、孤独感が低減するという研究があります[8]。また、ノスタルジアな気分を感じることによって、他者との社会的つながりをより感じる状態になる、ということがわかっています[5]。
コロナ禍では他人と関わることが減り、孤独感を感じることもあると思います。思い出に浸ると、他人とのつながりが感じられ、孤独感が低減するかもしれせん。
現在はコロナ禍にあり、終わりの見えない非日常的な生活に不安やストレスを感じている人も多いと思います。そんな時は、ポストコロナの楽しかった思い出に浸ると、心が軽くなるかもしれません。新型コロナウイルスが収束し、ポストコロナの生活に戻ることを信じて、ウィズコロナとして上手に付き合っていくのが大切だと考えます。
逆に、新型コロナウイルスの影響でプラスに変化したこともあります。家族と過ごす時間が増えたために一緒に過ごす大切さが実感されたり、リモートワークが推進されたことで通勤時間が減ったりしました。アフターコロナは、ポストコロナに戻るだけでなく、コロナ禍で生まれた新しい生活方式を踏まえた、更なる進化をもたらすことが期待されます。そこにはポストコロナの思い出を超えた、新しい世界が待っているのかもしれませんね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
[2] 内閣府「第3回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」
[3] 一般社団法人 日本産業カウンセラー協会「新型コロナウイルスによる不安やストレスなどの心の問題に対処するために」(閲覧日: 2021/12/10)
[4] こころの耳「新型コロナウイルス感染症対策(こころのケア)」(閲覧日: 2021/12/10)
[5] Wildschut, T., Sedikides, C., Arndt, J., & Routledge, C. D. Nostalgia: Content, triggers, functions. Journal of Personality and Social Psychology, 91, 975-993, 2006.
[6] Baldwin, M., & Landau, M. J. Exploring nostalgia’s influence on psychological growth. Self and Identity, 13, 162‒177, 2014.
[7] Routledge, C., Arndt, J., Wildschut, T., Sedikides, C., Hart, C. M., Juhl, J., Vingerhoets, A. J. J. M., & Schlotz, W. The past makes the present meaningful: Nostalgia as an existential resource. Journal of Personality and Social Psychology, 101, 638‒652, 2011.
[8] Zhou, Xinyue, et al. Counteracting loneliness: On the restorative function of nostalgia. Psychological science 19.10, 1023-1029, 2008.
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