M1の植田です。ゲーム関係の論文を読んでいたときに、ゲームをプレイすることでゴミの分別のスキルを向上させる研究を見つけました。そこでは海外のゴミの処理について触れられており、私は「日本ではどうなんだろう」と思い、調べたので、今回はそれについて書いていきたいと思います。

海外

これまでゴミの管理について様々の試みがなされてきましたが、不適切に処分されるゴミは依然として大量にあります。

多くの国で、ゴミの分別が長年推進されてきたにも関わらず、リサイクルの参加率は低いままです。タイでは、年間の家庭ゴミのリサイクル率は20%程度ですが、潜在的なリサイクル率は40~60%になると言われています[1]。

また、アメリカのリサイクル率は32.1%です。これを改善するため、リサイクル商品の市場を改善するなどの5つの目標を掲げて、2030年のリサイクル率を50%にするという戦略があります[2]。

このように、リサイクルの参加率は低いですが、これから向上する余地は十分にあります。そのため、先程紹介したゴミの分別スキルの向上ができるゲームはもちろん、リサイクル推進のための活動は非常に有意義のものであると言えます。

日本

日本ではゴミを焼却処分する割合が非常に大きく、リサイクル率は19.6%と低くなっています[3]。

また、全国の男女400人に対し行った、ゴミの分別に関する意識調査があります[4]。この調査によると、71.3%もの人がちゃんと分別を行っていないことがわかりました。その理由としては「めんどうだから、手間がかかるから」、「分別方法がよくわからないから」というのが大半を占め、他には「誰かがやってくれるから」、「分別しなくても回収してくれるから」、「ゴミを分別する必要を感じないから」があります。

このように、日本でも例に漏れずゴミの分別が問題であることがわかります。特に「誰かがやってくれる」、「必要性を感じない」など個人の意識が低いことが窺えます。

このまま正しく分別をせず時間が経った時、どんな未来が待っているのか、それをもっと周知するべきではないでしょうか。

また、前述の通り「めんどくさい」、「分別方法がわからない」という人が大半を占めています。ゴミの分別を正しく行わないことによる危険性を周知してもなお、正しく分別を行わない人は多いと思います。そのため、個人が「ゴミの分別をしたい」と思うような付加価値を与えることができれば、「めんどくさい」、「分別方法がわからない」で終わりにせず、自分で調べて正しく分別ができるようになるのではないでしょうか。

ゴミの分別ゲーム

最後に、ゴミの分別ゲームについて説明していきます。この研究では、リサイクル施設やサービスなどへのアクセスが制限されていること、リサイクルに関する知識が不足しているという課題を解決するために、ゴミの分別スキルを向上させるゲームを提案しています[5]。

このゲームの名称はSEPBOといいます。SEPBOでは、VR空間内で床に散らばっているいくつかのゴミを正しいゴミ箱に入れ、全てのゴミを片付けるとクリアとなります。終了後は、ゴミの種類ごとのスコアと全体のスコアを確認することができ、自分のゴミ分別のスキルを確認することができます。さらに、これら全てが終了した後は、ゴミの管理問題の解決にみんなが参加した時の未来がどのようなものかを表す映像が流れ、プレイヤーの意識を高めることができるようになっています。


SEPBOプレイの様子[5]


リザルト[5]

おわりに

今回は、海外と日本でのゴミの分別についての現状とゴミの分別ゲームを紹介しました。

私自身、ゴミの分別をきちんとしているつもりですが、正しくできていないかもしれませんし、同じような人もいると思います。また、プラゴミの中に空き缶が入っていたり、ペットボトルのラベルがそのままだったりと、適当すぎる捨て方をしているのを見かけることも少なくありません。

コロナ禍により自宅で過ごす時間が増えた今、自宅で出るゴミの量も増えていることでしょう。ゴミの分別の必要性は高まっていると思います。

この記事を読んでくださった方、少しでもゴミの分別の意識が高まってくれることを願っています。

今回の記事を書いたきっかけは、遊ぶためにゲームをするのではなく、何か別の目的のためにゲームを利用できないかと考え、ゲームをしてゴミの分別スキルを向上させるという研究を見つけたことです。

ゲームを研究にするにあたって、「遊ぶためにゲームをする」ということのみにとらわれず、研究を進めていきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考文献

[1]Potentials of recycling municipal solid waste in aisa vis-a-vis recycling in thailand. P. Shapkota, et al.

[2]National Recycling Strategy. EPA

[3]一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度)について 環境省 http://www.env.go.jp/press/109290.htm (2021年12月10日閲覧)

[4]ゴミの分別に関する意識調査結果を発表 ストレスだと思うごみ分別作業に1位「段ボールをつぶして・まとめる」、2位「ラベルをはがす 日本コカ・コーラ株式会社

[5]SEPBO: Trash separator bot VR game. Thirada Theethum, et al.

文責:橋山研究室 植田匠

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