M1の植田です。私はゲーム・e-sportsの人口を増やしたい、面白さを知って欲しいという思いでゲームの研究をしています。今回は、スポーツの観戦者増加の取り組みに焦点を当てて、ゲーム・e-sportsの人口を増やすにはどうしたらいいかを考えてみます。

はじめに

現在、e-sportsの人口はプレイヤー、観戦者に限らず多いとは言えません。ミレニアル世代である人たちにとってもそれほど身近にあるものではなく、あまり詳しくは知らないという人が多く存在します。[1]

そこで、スポーツの観戦者増加の取り組みがゲーム・e-sportsの人口を増やすためのヒントになるのではないかと考えました。以下ではスポーツの観戦者増加の取り組みについて、その例を紹介していきます。

野球の観客数増加

まずは野球の事例について紹介します。

広島カープでは家族連れや女性ファンの獲得を目的として、「びっくりテラス」や「寝ソベリア」の設置を行いました。

「びっくりテラス」とは、バーベキューをしながら観戦ができるスペースです。複数人で、バーベキューをしながら野球観戦を楽しむことができます。 「寝ソベリア」とは、子連れの家族が安心して観戦できるスペースです。イメージとしてはソファのようなものですね。足を伸ばしくつろいで観戦することができます。

この取り組みにより、2009年に約187万人だった観客数を2016年には約215万人にまで増やすことに成功しています。[2]


寝ソベリア[3]

バスケットボールの観客数増加

次にバスケットボールの事例について紹介します。

プロリーグのB.LEAGUEでは、女性観戦者の増加を目的として「レディースデー割引」や「スイーツビュッフェ付きチケットの販売」、「ボディビルダーショーの開催」、「占いブースの設置」などを行なっています。[4]

これにより、2014年に約100万人だった観客数を2019年には約185万人にまで増やすことに成功しています。[5]

「プロスポーツ×スマホゲーム」の観戦者増加計画

ここでは、プロスポーツとスマホゲームを組み合わせることにり、スポーツ観戦者の増員を図った計画を紹介します。[6]

この計画では例としてプロ野球とスマホゲーム「プロ野球スピリッツA」が挙げられています。ゲームのユーザーが実際の野球を観戦するためのハードルを下げたり、観戦に行くモチベーションを高めるような工夫がされています。

まず1つ目は、ゲーム内のポイントで球場へ招待する制度の導入です。この計画では、事前にゲームのユーザーにアンケートをとっており、そのアンケートで観戦に行かない要因として「チケット代が高い」ことや「チケットの購入方法がわからない」というコメントが散見されました。この制度が導入されれば、先程の理由でチケットの購入ができずに観戦ができないという問題は解消されます。

2つ目は、来場者に限定のゲーム内特典を配布するというものです。ゲームをより楽しむことができるような特典を配布することで、スポーツ観戦に訪れる機会の増加が見込めます。

3つ目は、来場者同士とプロ選手のゲームユーザーとの交流イベントの開催です。プロ選手の中にもスマホゲームユーザーが一定数いることは間違いなく、そのような人とゲームを通して交流を行うことで、更なるファンの獲得、及び観戦者の増加が期待できる。

ゲーム・e-sportsの人口増加のために

最後に、ゲーム・e-sportsの人口をどのようにしたら増やすことができるかについて考えてみたいと思います。

これまでの例では、女性ファンの獲得やスポーツのゲームをやっているがそのスポーツの観戦に入ったことがないような人を対象としていました。つまり、スポーツ観戦をしたことがない人が多く、新たな客層として獲得したい層と現在スポーツ観戦をしている客層が被っていない層を狙っています。

これを踏まえると、ゲーム・e-sportsの人口を増やすことを考えたときに、今までゲーム・e-sportsをプレイしたり観戦したことがない人が大多数を占める層を取り入れることが有効であると考えられます。

例として、大規模ではあるものの客層が被っていないであろうコンテンツとのコラボ、ある場所やお店などとのコラボ、有名インフルエンサーが実際にゲーム・e-sportsをプレイすることなどが挙げられます。

1つ目について、他コンテンツとのコラボは現在でもよく行われています。アニメのキャラクターやスキンをゲームに実装し、新たなユーザーの獲得が期待できます。

2つ目について、実際にその場所に行くことでゲーム内でのアイテムがもらえたり、現実でグッズがもらえたりするというものです。

3つ目について、インフルエンサーが実際にプレイすることで「〇〇さんがやっているなら自分も」というようにゲームのプレイを促すことが期待されます。

おわりに

今回は、スポーツの観戦者増加の取り組みについて紹介し、それを参考にしてゲーム・e-sportsの人口を増やすにはどうしたらいいかを考えてみました。

紹介した事例のように、新たな客層を獲得しようとしているキャンペーンのようなものがあれば、ぜひ触れてみてください。あたらしい世界が開けるかもしれません。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考文献

[1]大学生の e スポーツに対する意識に関する研究 伊藤克広, et al.

[2]広島東洋カープファンの株主機能と「広島」地域の活性化-この最適が全体最適になる時- 粟屋仁美

[3]ひろしま観光ナビ 広島県観光連盟 https://www.hiroshima-kankou.com/sports/carp/stadium (2021年10月22日閲覧)

[4]スポーツ観戦女子をどう増やす? 久我智也 https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/feature/15/070800035/122600015/ (2021年10月21日閲覧)

[5]B.LEAGUE 2019-20 SEASON REPORT JAPAN PROFESSIONAL BASKETBALL LEAGUE https://www.bleague.jp/files/user/2019-20_season_report.pdf (2021年10月22日閲覧)

[6]「プロスポーツ×スマホゲーム」によるスポーツ観戦者の増員計画-プロ野球スピリッツAを対象として- 上林優花 大見凌万 渡辺有馬 草薙健太

文責:橋山研究室 植田匠

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